溺愛されてもわからない!

土曜日のせいか、電車はこれからおでかけしようとする私達みたいな子が多く、似たような年頃の子達が一夜をチラ見して騒いでいた。モデルさんみたいな顔と身長とおしゃれな服装。騒がれても当然かな。一夜は私をガードするようにドアの近くに立ち私を優しく見る。

「着いたよ」

「うん」

人混みを上手に歩く一夜。
それに一生懸命付いていく私。
一夜はさりげなく私の手を繋ぎ迷わない様にリードする。
あったかい手。優しい手。
こんな王子様の彼女ってどんな子なんだろう。
一夜は特定の彼女がいなくて、モテるから色んな子と遊んでるらしい。
特定の彼女ができたら
本質はすごく優しくて一途な人だと思うから
きっとその子は一夜の愛情を受けて
すごく幸せだと思う。

その子が私の目の前に現れて
一夜に紹介されたら
私は素直に喜ぶ事ができるのだろうか

寂しい気持ちになるかも

ん?何を考えてる私!

一夜に甘えてる?

繋いだ手を振りほどかず
一夜に案内されて
あちこち歩き
目的のお店に一歩入ると


無理……ってわかった。


これは


無理だ。





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