溺愛されてもわからない!
「すごい綺麗な髪だね。どこのトリートメント使ってるの?」
「トリートメントは使ってません」
「えっ?そうなの?艶があって綺麗だよ」
栄養だけは入ってるとは思う。
褒めてもらえて嬉しいです。
「さぁどうする?今が肩近くの直毛で髪の量もあるから、パーマかけて流行のボブっぽくする?それともショートにしようか、カラーかけたら柔らかい印象になるよ。学校が自由だといいね」
「色んな髪の色の人達がいて楽しいです。でも自分は慣れてないから、カットだけで十分です。パーマもカラーもいいんです」
興味はあるけど
お母さんがビックリしたら困るから。今日は止めときます。もう少し都会に慣れたら挑戦しよう。
「そっか、もったいないけどいいよ。それならさ……」
イシイさんはヘアカタログを持って来て色々提案し、私はキラキラするフロアでキラキラしたヘアカタログを見て、キラキラしたイシイさんにお任せ。
もう目がキラキラです。
おまかせいたします。
イシイさんのカットは魔法のように
あっという間に仕上がって
すんごいシンプルなあごのラインにかかるボブなんだけど
髪の毛が自分の髪じゃないみたいに
サラッとまとまっていて
すんごくカットの流れがよくって
えっ?なんかすごくない?
まじまじと仕上がりを鏡で見てしまう。
「長さは4センチぐらい切ったけど、髪の量が多いからけっこう中を切った。軽くなったはずだよ」
確かに軽い。
「可愛くなったね。今度は別の人に変わるよ。フジタさん、こっち終わったから頼む」
「はい」
次に私はフジタさんという、これまた綺麗なお姉さんに別のフロアに連れて行かれた。
不安だ。早く出たい。