溺愛されてもわからない!

そこはピンクの深く座るソファがあって
これまた
ひとりひとりに鏡があるけど
髪を切る雰囲気じゃなさそう。

「可愛いわ。一夜さんの妹さんなんですって?これからもよろしくお願いします」
フジタさんは高そうなカップをサイドテーブルに置き、私にすすめてくれた。
喉が渇いてたから嬉しい。
美味しい飲み物をいただいてたら「カモミールティーよ」って優しい声で教えてくれた。
ハーブティーなんだ。美味しいなぁってカップを置こうとすると、さりげなく小さなメニューのような紙があって、それが値段の表と知る。何気に見てから目が飛び出そうになった。

カット ¥6500~

トップスタイリスト ¥7000
クリエィティブスタイリスト ¥7500
エグゼクティブスタイリスト ¥8000

飛行機乗りました?私。
高いホテル泊まりました?私。

いや20%オフにしても……どうしよう。

不安な私をスルーしてフジタさんは「メイクも頼まれたの」って言い、ゴールドのピンで私の前髪を押さえてくる。

「いえ、いいです私」

横目で見えてしまった
メイク ¥5000の文字。

「でも頼まれたの。いいかしら?」

タヌキに有無を言わせないフジタさん。
綺麗なお姉さんに弱い私。

素直になるようになれと、ここもお任せです。




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