溺愛されてもわからない!
「すみれちゃんは隙だらけ」
ズバリ言われた。
夢君と似たような発言してるし。
「からかって遊ぶとすぐ本気になってうろたえるし、何も考えず行動するし」
それは認める。
「ここは田舎と違うからさ、自分で考えて行動しないとダメだよ。世の中みんないい人じゃないから」
夢君と説教の方向性が一緒。
つまんない顔で横を向いたら
強い力で泡だらけの腕をつかまれた。
「ちゃんと聞いて。心配なんだから」
「聞いてます」
「自分が可愛い女の子だって自覚するんだよ」
「可愛くないもん」
「バカだなぁ可愛いよ」
一夜は私の手を離して
とっても甘い顔と声で言ってくれた。
まるでそれは魔法の言葉。
スポンジを持ちながら一夜の顔を見上げると
やっぱり一夜は王子様。
品のあるこの甘い笑顔は最強。
「すみれちゃんは誰よりも可愛いよ。僕の大切な女の子」
女の子……違うよ。いつもとセリフが違うよ。
そこは義妹でしょう。
「ご飯美味しかったなぁ。すみれちゃんは料理上手だね」
一夜は普通の会話にギアチェンジ。
私だけ元に戻らず
心臓ドキドキで胸キュン。
困ったヤツだよ。