溺愛されてもわからない!

「すみれちゃんは隙だらけ」

ズバリ言われた。
夢君と似たような発言してるし。

「からかって遊ぶとすぐ本気になってうろたえるし、何も考えず行動するし」

それは認める。

「ここは田舎と違うからさ、自分で考えて行動しないとダメだよ。世の中みんないい人じゃないから」

夢君と説教の方向性が一緒。
つまんない顔で横を向いたら
強い力で泡だらけの腕をつかまれた。

「ちゃんと聞いて。心配なんだから」

「聞いてます」

「自分が可愛い女の子だって自覚するんだよ」

「可愛くないもん」

「バカだなぁ可愛いよ」

一夜は私の手を離して
とっても甘い顔と声で言ってくれた。

まるでそれは魔法の言葉。

スポンジを持ちながら一夜の顔を見上げると
やっぱり一夜は王子様。
品のあるこの甘い笑顔は最強。

「すみれちゃんは誰よりも可愛いよ。僕の大切な女の子」

女の子……違うよ。いつもとセリフが違うよ。
そこは義妹でしょう。

「ご飯美味しかったなぁ。すみれちゃんは料理上手だね」

一夜は普通の会話にギアチェンジ。
私だけ元に戻らず
心臓ドキドキで胸キュン。

困ったヤツだよ。
< 162 / 442 >

この作品をシェア

pagetop