溺愛されてもわからない!
彼女の好きな人
「ただいま。あら本当だ、可愛くなったわね」
お母さんも居間に入り
和彦さんも荷物を持ってそれに続く。
ふたりとも私を見て「似合う」「可愛い」言うものだから、すんごく恥ずかしくなって「ご飯作ったよ。一緒に食べよう」と、台所に逃げてしまった。
ほめられるのは恥ずかしい。
台所から見える景色は幸せな風景。
淡いピンクのスーツを着たお母さんにまとわりつく月夜。
「お母さん。お母さん」って何度も呼び、安心して甘えてる月夜。その後ろで嬉しそうな顔で見守る和彦さん。
理想の親子像。
私は居なくていいかも。
3人で絵になってる。
とっても嬉しいよ。
月夜がお母さんに甘えてくれて
お母さんが幸せで和彦さんも幸せで
嬉しいんだけど
どうしてこんなに寂しいのだろう。
子供かっ。
「すみれー。おみやげあるよー」
「お姉様と呼べ!」
台所から幼稚園児に突っ込んでたら、階段から一夜が降りて来た。
「一夜君ただいま。お留守番ありがとう。すみれがお世話になりました」
お母さんが一夜にそう言うと
「おかえり。お母さんも疲れたでしょう。楽しかった?」と、自然体でしれっと言った。
言った!
一夜が言った!
お母さんってさりげなく言った!!!
げっ凄いプレッシャー。
次は私じゃん。