溺愛されてもわからない!

「欲しかったんです。ありがとうございます」
部屋に飾ってたい気持ちもあるけれど
これは手放せないね。

きちんとお礼を言ったけど
これはこれで
また他人行儀っぽく見えたりして。

むずかしいわ。

浮かれてお母さんと一夜に自慢してたら
月夜がお風呂も入らないでソファで熟睡。
さっきまで騒いでたのに
コロッと寝てしまう幼稚園児。
生意気だけど寝顔がカワイイ。

和彦さんが運ぼうとすると
一夜が「僕が連れてく」って抱き上げ、お母さんも「寝汗かいてるわ」って行ってしまい。

和彦さんとツーショット。

気まずい。

「すみれさん」

「はい」

「無理しないでいいから」

ソファに座ってバカラのグラスでスコッチを飲む和彦さん。
最初は大柄で鋭い目つきで怖い人だと思ってたけど
本当は優しくて家族想いの人で
色気があるイケメンさん。一夜に似てる。

「無理しないで下さい。自分は椿さんがいてすみれさんがいて、一夜がいて月夜がいて、それで幸せなんです。今の状態に感謝します。他は望みません」

「和彦さん」

「留守番ありがとう」

優しい目で私を見て
グラスのお酒をグイッと一気飲みしてから
台所にそれを置き
自分の部屋に戻って行く組長。
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