溺愛されてもわからない!
「夢君?」
「何?」
振り向いた顔が男らしい。
鋭い一重の目をしているけれど
笑うと人懐っこくなって
可愛くなるのを知っている。
最初は怖かった
でも
とっても優しい人。
「雫さんってどう思う?」
「雫って井口?」
「うん」
緊張しちゃう。
「別に……同じクラスだから、普通に話しかけられたら話すよ。最近は前より話すかな」
うん。雫さん頑張ってるもん。
本当はドキドキしながら話しかけてるんだよ。
恋する乙女は一生懸命なんだよ。
「こっちに来てから、すごくお世話になってるんだ」
「いいヤツだよな」
「うん。すごく綺麗だよ。綺麗で人気あるけどエラそうにしないし、こんな私にも優しいんだ」
「仲よさげ」
「うん」
「井口がどうした?」
「雫さんが……」
どうしたんだろ。わかんない。
私は何を言いたいのかわからない。
雫さんからは『協力して』って言われていて、一生懸命な雫さんの姿を見て何かしてあげたい気持ちと、自分が夢君を好きな気持ちが混乱してる。
一夜にアドバイスされて
どうにかしなきゃいけない!って自分で自分を追い込んでるけど