溺愛されてもわからない!
「お医者さん来てくれたの?」
目を閉じたまま聞く私。
「そう。風邪と疲れからくる高熱」
「疲れ?この私が?」
「らしくないよね」
笑われてしまった。
「すみれちゃんは無茶だよ」
一夜の声が低くなる
あ、これは
お説教モードだ。
「危険で見てられなかった。椿さんの胎教に悪いだろう、心配させないように」
「椿さんって呼んだ」
「僕をからかう余裕ないよ」
冷たい一言。怖っ。
「月夜と2人、落ちてきたら意味ないだろ」
「自信はあった」
「降りる時の姿勢がひどかった」
「……ごめんなさい」
だよね。
最悪パターンは私と月夜が落ちて、ふたりで大ケガの可能性もあった。
「……ごめんなさい」
もう一度言うと
やっと一夜は「わかったらいいよ」って言ってくれた。
「あとはうちの和彦さんと田中から説教受けて」
嫌だー!和彦さんの説教嫌だ!
ついでに田中さんも嫌だ!
ふたりの圧力ハンパないもん。
田中さんなんて無言で私を攻めるよ。修行僧より怖い。