溺愛されてもわからない!
「でも感謝してる。すみれちゃんが月夜に何て言ったのか聞こえなかったけど、月夜は素直になってくれた。あの顔つきを見たらもう大丈夫ってわかる。発信機がはめ込まれたゲーム機と怪獣は、落ちてきた月夜のリュックに入ってた。すぐ気が付いたすみれちゃんに感謝してる」
「無事でよかった」
「月夜に何て言って説得したの?」
「内緒」
「わかった」
「月夜は?」
「熱出した」
おまえもか……。
「一緒に発熱って笑えるね」
一夜の甘い甘い声が眠りを誘う。
なんて優しく甘い声なんだろう。
「寝ていい?」
「ゆっくり寝て」
「一夜も自分の部屋で寝て。ありがとう」
「すみれちゃんが寝たら行くよ」
髪を優しく撫でてくれて
猫になった気分。
一夜の長い指が気持ちいい。
私は安心して
もう一度眠りにつく
眠りに落ちる寸前で
ふわりといい香りがして
柔らかい唇が私の唇に落ちてくる。
「……誰にも渡さない」
彼の言葉が届くか届かないかで
私は気持ちよく
熟睡してしまった。