溺愛されてもわからない!

「でも感謝してる。すみれちゃんが月夜に何て言ったのか聞こえなかったけど、月夜は素直になってくれた。あの顔つきを見たらもう大丈夫ってわかる。発信機がはめ込まれたゲーム機と怪獣は、落ちてきた月夜のリュックに入ってた。すぐ気が付いたすみれちゃんに感謝してる」

「無事でよかった」

「月夜に何て言って説得したの?」

「内緒」

「わかった」

「月夜は?」

「熱出した」

おまえもか……。

「一緒に発熱って笑えるね」

一夜の甘い甘い声が眠りを誘う。
なんて優しく甘い声なんだろう。

「寝ていい?」

「ゆっくり寝て」

「一夜も自分の部屋で寝て。ありがとう」

「すみれちゃんが寝たら行くよ」

髪を優しく撫でてくれて
猫になった気分。

一夜の長い指が気持ちいい。

私は安心して
もう一度眠りにつく

眠りに落ちる寸前で

ふわりといい香りがして
柔らかい唇が私の唇に落ちてくる。

「……誰にも渡さない」

彼の言葉が届くか届かないかで

私は気持ちよく
熟睡してしまった。



< 221 / 442 >

この作品をシェア

pagetop