溺愛されてもわからない!
「『どうしたらいい?』とか、聞かないように」
一夜は最初から私をシャットアウト。
私はうなずいてその場に立つ。
「僕はアドバイスした。ダラダラと問題を解決しない、すみれちゃんが悪い」
ジャケットとスマホをベッドの上に投げ捨て
長い足を組んで疲れた顔でイスに座る。
「はっきり言えば僕は嬉しいよ。今ならすみれちゃんも弱ってるからすぐ落ちるし、優しくすればこの場でヤレちゃう。僕の物にできる」
否定できない自分が怖い。
夢君を好きになってわかったのが
こんな自分でも女の子だったって話
ちょっとした事でウロウロして
落ち込んで泣いて
誰かに優しくしてもらいたくなる。
ダメな私。
「僕はすみれちゃんが好きだよ。誰にも渡したくないのは本当。夢に負ないぐらい好きだ」
内容は甘いけど
話す一夜の声は冷静だった。
「でも、この状態ですみれちゃんを抱くのはフェアじゃない。すみれちゃんは夢が好きなんでしょう?でも、その彼女が気になって夢に返事ができなくて、夢を傷付けた事に自分が傷付いてる」
一夜には全部見抜かれていた。
「すみれちゃんのおバカ」
そう言われて
私はうつむいてしまう。
その一言しかない。