溺愛されてもわからない!

いい匂いがする。
目より鼻で朝を感じた。

あったかいぬくもり。
子猫になった気分。
甘いミルクがどこかにありそう。

そういえばお腹が空いた。
お肉食べたい。
頬に当たる感触は美味しそうなお肉に似てる。
引き締まっていて
隣の家のニワトリに似ている。
あぁあのニワトリ
今週の土曜日が隣のおばあちゃんの誕生日で、その日に食べるからって呼ばれてたのに

食べそこねたよ。
残念でたまらない。

今、この肉は私が食べる。
私のものー。
いただきまーす。
かぷっとかじると

「いてーっ!」ってお肉が叫ぶ。

肉の大きな叫び声と、枕が頭から抜かれた衝撃で私は目を覚ます。

「何でかじる?」

「え?」

目覚めると
裸の一夜君が同じベッドで横にいた。

「甘噛みは慣れてるけど、これは食用噛みでしょ」

私は
こいつの裸の胸で
腕枕までしてもらって

抱かれて寝てたようだ。



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