溺愛されてもわからない!

今日は何時までやるんだろう。
テーブルの上で突っ伏してたら

「さっき一夜から話は聞いた」

和彦さんの低い声が突っ伏す私の耳に入る。

「組としてはありがたいのですが、一夜さんのお気持ちがどうなのか」

「話は前からしつこくあったから、顔合わせだけしてみようと思ってる」

「組長」

「一夜も色々と考えているんだろう。本人がその気になってくれるならそれでいい。流れに任せる」

「しかし」

「まだ学生だからね、それに……」

ヒソヒソ話が徐々に小さくなっている。
もっと大きな声で話してよお父さんっ!聞こえないっ!
ジリジリとテーブルの端まで移動し、耳を大きくしていたら

「おねーちゃーん。ぱーんち!」

体をもてあました幼稚園児が背中にグーで叩いてきたし。

「おのれー月夜ー!」

おねーちゃんは寝不足なんだよ!
お肌に悪いんだよ。
超イラついてんだよ!

ケタケタ笑う月夜の身体をつかんで
振り回して投げ飛ばしたら

和彦さんと田中さんの会話は終わっていた。

一番大切なとこを聞き逃した

あぁおバカ。

ガックリしてたら「月夜ぼっちゃん。すみれさんはもう勉強の時間です邪魔しないように。すみれさん始めますよ」

「まだご飯も顔も洗ってません」

「3分で終わらせるように」

朝から怖い。逆らえません。
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