溺愛されてもわからない!

「ごめんなさい。調子にのって嫌な事を言っちゃった」

東大出のクールな若頭さんにスマン。
嫌な気持ちにさせてごめんなさい。

「いつにしましょうか?」

「はい?」

「高校卒業した年の6月にいたしましょうか?いや、準備がありますから2010年はいかがでしょう?」

田中さんはタブレットで何か調べる。

「6月の花嫁にこだわらなければ、1月20日か26日はどうしょう?なるべく早い方がいい」

え?話が見えません私。

「組長には自分から話をします。組長はすみれさんが可愛くてたまらないので、結婚の許可をいただくのは時間がかかると思いますが、自分の気持ちを伝えるのが一番だと思います。その時はすみれお嬢さんも協力して下さい。挙式はお好きな場所でお任せします。海外でもよろしいですが、その前に大親分さんの所にご挨拶……」

走ってる走ってる
田中さんが猛スピードで走ってる!

「何の話をしてるの?」

「自分とすみれさんの結婚ですが」

「冗談ですよ。冗談!」

冗談も言えないのかっ!
アドレナリン全開で寝不足が飛んでゆく。

「変な冗談は止めて下さい」

クールに言われてしまった。
ごめんなさい。

「いやでも、普通に冗談ってわかるでしょう」

「わかりません」

「私と結婚なんて無理でしょう」
大きな口を開けて笑って言うけど、また田中さんは笑ってくれず

「無理じゃありませんよ。自分はすみれお嬢さんが好きです。結婚したいです」

真面目な顔で言われてしまった。

胃が痛い。
これ以上
私に頭を使わせないで下さい。
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