溺愛されてもわからない!


テストが終わり
田中さんのおかげで
どうにか平均点より下だけど
それなりの点数を取れたのでよかった。

田中さんのおかげというか
一夜が出そうな箇所に狙いをつけ、それを田中さんから教わったのでそれが的中。一夜ってスゴっ。

「やっと遊べるね」
学校が終わって雫さんが声をかけてくれたので、私は思い切って雫さんに「ふたりで話があるの」ってお願いをする。すると雫さんは私の表情を見て「いいよ」って言ってくれて、私は雫さんと一緒に教室を出る。その様子をずっと夢君が見守っていた。頑張れよって声が聞こえそう。だから頑張るよ私。

気楽に話ができるように
親しみやすく
子供がチョロチョロしているようなフードコートに移動し、寒いのでココアをふたつ買って安っぽいイスに座る。

こーゆー場所の方が楽に話せる私。
田舎のコミュニティ広場に似てる。

ちょっと世間話などしてから
夢君の話をしてみた。

元気なふりをしてるけど
まだ雫さんの心の傷は深い気がして
どうしようか迷ってしまう。
でもこの迷いは早く解消しないと、自分も夢君も雫さんも嫌な気持ちになってしまうから、私は雫さんにやっと言う。心臓のドキドキと胸が苦しい。

「私も夢君がずっと好きだった」と……。

綺麗で大人びている雫さんの顔が、私より幼く感じられた。
戸惑って驚いている。

ごめん。驚かせて。
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