溺愛されてもわからない!

「でも、私に協力してくれるって……」
いつも自信に溢れている声が、今は細く聞こえる。

「協力しようと思ってた。夢君が相手だと知らなかったから」

「途中でわかったでしょ」

「だから苦しんだ。だって私は雫さんが大好きだもん。転校した時から声をかけてくれて、優しくて大好きだったから」

「夢の好きな子って、すみれなの?」

どうやって返事をすればいいんだろ。

ただ黙ってると

「いいよもう。私をふたりで笑ってた?」

思いがけない言葉に驚き焦る私。

「それはない」

「夢の話をする私をバカにしてた?面白かった?」

雫さんの目から涙がこぼれる。
それはとっても綺麗な涙だった。

「違う。絶対違う!」

「ごめん。わかった……ふたりで仲良くしたらいい」

雫さんは席を立ってカバンを持つ

「雫さん違う」

「何が違うの?夢とすみれは付き合ってるんでしょ。私はフラれたの簡単じゃん」

「そんな簡単じゃない」

「もういいよ。ありがとう。すみれも苦しんだかもしれない、私もすみれが好きだもん。でも今はごめん、優しい言葉をすみれにかけてあげれない。よかったねとか言えないごめん。もう少ししたら言えるからごめん……少しの間、私達も離れよう……ごめんね」

って
乱暴に私の前から去って行ってしまった。

私の説明が悪かったかも
上手く言えなかった
また傷付けたかもしれない。


私のバカ……。

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