溺愛されてもわからない!

鉛色の空と同じぐらい
私の心もズトーンと曇ってる。

空を見上げて風の湿り気を感じながら
夜に初雪が降るだろうと予測する。

足と心と身体が重い。

でも……そうだよね。
そう思うよね。雫さんの気持ちは当然だろう。

今日も夢君はバイト。
家に帰って
LINE入れとこ。

楽しそうなクリスマスソングが重く聴こえる。

都会はディスプレイが綺麗
あちこち赤と緑と白。
クリスマス気分が高まる。

去年のクリスマスは何だっけ
24日は友達と過ごして
25日はお母さんと2人で、ケーキ焼いて食べたんだ。
こんなカラフルじゃなくて
超素朴なクリスマスだったけど
すんごく笑って楽しかった。

今年は笑えるかな。
どんなクリスマスになるんだろう。
タメ息とお友達のクリスマスにはしたくない。

「あ、雪だ」

「初雪じゃない?」

通りすがりに空を見上げ
人々が歓声を上げている。

夜に降ると思ったけど外れた

都会のオンナになってきたな私も。








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