溺愛されてもわからない!
「ありがとう。でもバイトで疲れてるからいいよ」
『心配だから行く。着いたら電話するから外に出てくれる?』
「今、夢君の声を聞けたから大丈夫」
『すみれの大丈夫はあやしい。行くから』
電話が切れる。
弱ってる心を夢君はお見通しだ。
私はモコモコニットの上着を着て二階の窓から夢君を待ち、座り込んで足がしびれた時間に電話がかかって来て外に出る。あ、田中さんに一応連絡しておこう。背後から夢君が撃たれたら大変だ。
田中さんにLINEを入れてから、玄関を出て門を開け夢君の姿を見つける。
息が切れてる。
バイト終わり走って来てくれたのが嬉しかった。
「大丈夫か?」
「問題ない」
「ウソつくな」
家の門を背にして
ギュッと私の肩を抱く夢君。
夢君の大きな身体にスッポリ包まれる。
「俺が守るから」
「大丈夫。今は混乱してるけど、きっと雫さんもわかってくれる」
そう信じてる。
信じる者は救われる。
「全部私が悪い。だから大丈夫」
強気で言うと
夢君のタメ息が伝わった。
え?私、何か変だった?