溺愛されてもわからない!

「すみれは俺を信じてる?」

「信じてるよ」
どしたの?いきなり。

「すみれは俺が好き?」

「すっ……好きだよ」
恥ずかしいなぁ。

「それならもっと無理言えよ。甘えてもいい。好き勝手言ってもいい。俺を信頼して」

「してるよ。変な夢君」

「呼び捨てでいいよ」

「……夢……」

恥ずっ!

「聞こえないぞ」

「……夢」

「最高に可愛い」

ギュッと抱き直されてしまった。
監視カメラは門の外にも設置してるはず。色んな意味で恥ずかしい。

「好きだよ」

夢君の腕に力が入り
真剣な声が聞こえて
その唇が私の唇に重なりそうになって

私は反射的に顔を下に向けてしまった。

「ごめん。嫌だった?」

「あ……ちがう。ごめん、あの急で恥ずかしくて……あの……」

拒否された夢君の表情が曇る。
そうだよね。こんな場面で拒否なんて空気読めない。せっかく来てくれたのに……気持ちだけが焦る私。
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