溺愛されてもわからない!
「悪かった」
夢君の身体が離れて2人の距離が広がる。
たった30センチ離れただけなのに
それはとてつもなく遠く
さっきまでのぬくもりが消えて
身体が冷たくなる。
冷たくなったのは身体だけじゃない
夢君の心も冷えている。
「あの、カメラが……カメラがそこにあって、組員さん達が見てるかも」
今日の当番は誰だ?
田中さんは当番じゃなくても絶対見てる。
「あ、そっか」
夢君は笑って私の頭をぽんぽんしてくれた。
「今度はカメラない場所で」
いつもの笑顔を見せてくれたので
ホッと安心。
そしてまた明日学校で会おう……って、行ってしまった。
ずーっと背中を見送りながら考える。
普通
拒否するかあそこで……。
自分の気持ちがわからない。