溺愛されてもわからない!

田中さん配合のハーブティーをお母さんに入れてもらい、カップを持って自分の部屋に入ったら、すぐノックの音がして一夜が現れた。

「ちょっといい?」

いつもの軽い感じで入って来て
私のベッドにドーンと身体を横たえた。

「うちの和彦さんの説教ってキツいわー」ってしみじみ言い、目を閉じた。

毎晩遊んでいてお疲れの所
和彦さんの説教ときたら
それは疲れるわ。

気だるそうに横たわる姿が色っぽい。
目を閉じた顔も綺麗。

「椿さん大丈夫?」

「え?」

見惚れていてぼーっとしてた。

「今日、調子悪かったって聞いたから。そんな時はさLINE入れてくれる?すぐ帰るから」

「つわりだから大丈夫だよ」

「でも心配」

「心配性は和彦さん似だ」

「あそこまでひどくない」

近くにあるクッションを投げられて
私と一夜は笑う。

久し振りの普通な会話に、心が温かくなる。

「すみれちゃん。今度の日曜日の昼って家に居る?いや、居なくてもいいけど」

「何かあった?」
家族でおでかけ?それなら絶対居るけど。

「お客さんが来るからさ、同じ歳の女の子だから、すみれちゃん居た方がいいかなって思っただけ、予定があればいいからね」

さりげなく言われたけど
婚約者だろうか

ハーブティーがさっきより苦く感じた。

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