溺愛されてもわからない!
「その女の子って一夜の婚約者?」そう聞くと、一夜は目を開けてまっすぐ私を見る。
「誰情報?」
「教えない」
「田中だな」
ビクッ!
正解だけど
黙っていたら笑われた。
「ウソがつけないタイプ。田中から聞いた?そうだよ婚約者」
やっぱりそうなんだ。
「私達まだ16だよ。婚約ったらその子と結婚するの?」
「するだろうね」
「どんな子?一夜はその子が好きなの?」
「会ってないからわかんない」
「わかんないって、結婚するんでしょ」
イライラする。
なぜだかわからないけどイラッとくる。
「女の子なんてみんな一緒」
「それって、その子にも失礼だよ」
「あっちは僕を知ってるみたい。喜んでたって」
「でも違うよ。そーゆーのは違う!」
そんなんで結婚するって違う。
絶対……違う。
ムキになる私を不思議そうに見てから
一夜は「おいで」と、手招きをした。
私は引力に引っ張られたように一夜の近くに行くと、手を取られベッドに沈む。
甘く優しい柑橘系の香りに抱かれる。