溺愛されてもわからない!
『ぶつかり合って家族なんだろ?』
「うん。すごい夢君」涙も引っ込む。
『よくドラマにありがちじゃん。俺がそれを言われても、冷めて笑っちゃうけど、すみれは単純で素直だから受け止めるだろ』
どーゆー意味?
笑ってるし。
『気にするな。気になるなら謝ってこい』
「ありがとう」元気に礼を言う。私って単純。
でも
ひとりで悶々してるより
人に話して
なんか言ってもらえると
こんなに楽になるんだね。
「あ、あのね。私もバイトするんだよ!」
『へぇー』
「20日まで。バイト代入るから、私も自分のお金でクリスマスプレゼント買える」
『俺にも?』
「うん。そんな高い物買えないけどね」
お母さんにもお父さんにも月夜にも買おう。
組員さん達にも田中さんにも買いたい。
そんなにもらえるかな?
組員さん達はお菓子でいいか、みんな甘いの好きだから。
月夜は怪獣がいいかな。
もってない怪獣を調べなきゃ。
うん。
なんか元気になってきた。
『俺はいいよ』
「そんな立派な物は買えないよ」
『俺が欲しいのはひとつだから』
「何?」
『言わせる気?』
そう言われて黙ってしまう。
『すみれが欲しい』
夢君の低い声が耳元に届く。