溺愛されてもわからない!

『聞こえてる?』
少しとがった声。
夢君の照れてる声。

「聞こえてるよ」
私も少しとがった声で返事する。
夢君はそれを私が照れてるって思ってるけど、私の気持ちは……自分でよくわからない。

夢君が好きだ。
ずっと最初から
すごく気になっていて
きっと
これが
ひとめぼれってヤツなんだって思った。

一緒にいると
ドキドキして
ワクワクして
ぼーっとして

大好きなんだけど

なんだろう
心の中でストッパーが動いてる。

突っ走れない何かがある。

でも
このまま夢君に抱かれちゃって(だよね……そーゆー意味だよね)幸せに暮らしましたが、理想なんだけど……なんだけど……どうしちゃったの私。

自分で自分がわからない。

一夜が頭から離れない。

あの子と婚約して結婚するの?

『すみれ?』

「うん。ごめん」

『無理すんなよ。困った事があったらすぐ教えろ』

「ありがとう」

夢君は優しい。とても優しい。
優しくされるたびに
申し訳なく思うのは
なぜなんだろう。
< 304 / 442 >

この作品をシェア

pagetop