溺愛されてもわからない!
『聞こえてる?』
少しとがった声。
夢君の照れてる声。
「聞こえてるよ」
私も少しとがった声で返事する。
夢君はそれを私が照れてるって思ってるけど、私の気持ちは……自分でよくわからない。
夢君が好きだ。
ずっと最初から
すごく気になっていて
きっと
これが
ひとめぼれってヤツなんだって思った。
一緒にいると
ドキドキして
ワクワクして
ぼーっとして
大好きなんだけど
なんだろう
心の中でストッパーが動いてる。
突っ走れない何かがある。
でも
このまま夢君に抱かれちゃって(だよね……そーゆー意味だよね)幸せに暮らしましたが、理想なんだけど……なんだけど……どうしちゃったの私。
自分で自分がわからない。
一夜が頭から離れない。
あの子と婚約して結婚するの?
『すみれ?』
「うん。ごめん」
『無理すんなよ。困った事があったらすぐ教えろ』
「ありがとう」
夢君は優しい。とても優しい。
優しくされるたびに
申し訳なく思うのは
なぜなんだろう。