溺愛されてもわからない!

そして日曜日。

あれだけ逃げてよかったって思っていたのに
ランチに一夜と彩里さん来店。

ないわー。ないない。ありえない!
そして
なぜカウンターに座るのだ。

「すみれちゃんがバイトしてるって聞いて、一夜さんにお願いして連れて来てもらったの」
お嬢様な笑顔がまぶしい。
こーんな清楚で可愛い顔した女の子が、先週は私の家族にウソついて、私にケンカ売ってたって信じられる?マボロシだったのかなーって思っちゃう。

一夜も一夜で
すんごく王子様スマイル全開。
彩里さんを大切にしてエスコートしてる雰囲気。

「一夜君の彼女なんだ。可愛いねお似合い」
調理場でおばさんがサラダを作りながら私に言い
私は引きつった笑顔で「ですねー」って大きな声でヤケになって言う。

はいはい。お似合いお似合い。

私も調理場に引っ込みたいけど
お客さんもいるから
そうもいかず。
そして奥のテーブルで田中さんと組員さんが目を光らせる。
田中さん達も仕事に戻ってちょうだい
嫉妬するこんな姿を見せたくない

って

嫉妬?嫉妬してるの私?

なんで?
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