溺愛されてもわからない!

「だから?」

「すみれちゃん……邪魔」

ムカつくわー。

本気で一言
怒ってやろうかと思って顔を見ると

彩里ちゃんはニヤリと笑い
淡いお嬢様なピンク色のネイルの指でコーヒーカップをもてあそび、熱く漆黒の液体を自分の白のニットに浴びせた。

「熱い!すみれちゃん何をするの?」

一夜が店に戻って来ると共に、彩里ちゃんの泣きそうな叫び声が店内に広がる。

「ひどい。すみれちゃん」

彩里ちゃんは泣き
キッチンからおばさんがやって来て
慌ててタオルを濡らせ彩里さんのニットを叩く。

一夜も驚いて彩里ちゃんの元へ行くと
彩里ちゃんは動けない私の目の前で、一夜に泣きついて、その腕に入り込んだ。

「すみれちゃんが……急に……私に熱いコーヒーをかけた」

泣きながら言う彩里ちゃん。

店中の人達が私を見つめる。

責めるように一夜は私を見て
彩里ちゃんの肩を抱く。


違う

違うのに……。
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