溺愛されてもわからない!
「ずっと朝まで一緒に付いてようか?」
その表情が寂しく見えるのはナゼなんだろう。
私の気のせいか
お互いに疲れているせいか。
「大丈夫だよ。夢君、助けに来てくれてありがとう」
私が言い切ると「その『大丈夫』が、いつも強がりに聞こえるんだけど」って笑う。すっかりバレてるね。
「また明日来てくれたら嬉しい」
「……わかった」
やっぱり寂しそうに夢君は言い、私の髪をこっそり撫でてから何度も振り返り部屋を出る。
田中さんは無言で頭を下げ
最後に部屋を出た。
カッコよかったったな田中さん。
うっすらしか覚えてないけど
かなりケンカ強かった。
みんな帰ったのね。
ちょっと寂しい。
はぁーっとタメ息すると
また頭ズキズキ。
「今、お医者さん来るから。もう夜中の1時過ぎなんだ、目が覚めてよかったよ」
一夜の声が聞こえた。
えっ?
「どうしているの?」
「いや付き添い」
「なんで?」
「家族だから」
「いや……そーじゃなくて」
「和彦さんと椿さんに頼まれた。頼まれなくても付いてる予定だったけどさ」
小さな丸椅子を引っ張って
一夜は私の傍に座った。