溺愛されてもわからない!

逆に思い出そうとすると
胃が逆流して
身体が震えて大きな叫び声を上げて
目の前の物を全て壊してしまいそうな
そんな気持ちになりそうで
自分が怖い。

「すみれちゃん?」

「あ……ごめんなさい……やっぱり後から食べるからいい。一夜も休んで、帰っても……」

「帰らないよ」

「でも」

「ずっと、そばにいるから」

優しい声。

ずっと
話をしたかった

やっと向き合えた気がする。

「明日、全部話すね。だから今日はおやすみ」

「うん」

安心できる。

一夜の存在が一番安心できる。

私は目を閉じながら
大切な人の存在をあらためて感じていた。









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