溺愛されてもわからない!


次の日の朝。

まだ身体は重くだるい
けど痛みは落ちつき
点滴も外されていた。

よかったよかった。

熱もなく
私としては
このまま帰りたかったけど
そうはいかないらしい。

一夜はずーっと一晩中付いていてくれて、ふと朝までの間に目を覚ますと、すぐ気配を感じて「まだ朝じゃないよ」って優しく言い、私の額を撫でて目を閉じさせる。

一夜
寝てないよね。

まだ外はやっと太陽が昇った冬時間。
午前7時。

私は病院食を待ちきれず
昨日のロールパンを手にして
上半身を起こし
一夜に昨日の話を聞きたいとお願いする。

一夜は「すみれちゃん。顔が怖い」と、笑いながらコーヒーを手にして苦笑い。目の下にクマができてる。寝てないよねゴメン。

「どこから話そうか」
長い指が髪をかき上げ
柔らかい眼差しが優しかった。疲れていても王子様してるわ。感心する。

「まず……夢から僕に電話が来た」

「夢君?」

「そう」

コーヒーを口にして
喉を潤してから
一夜は一気に昨日の話を始めた。

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