溺愛されてもわからない!
「まぁうちの極道系の流れのやつで、未発売の小さな高性能のGPSがその中に入ってる」
さすがだ。
さすが心配性のお父さん
言葉も出ない。
「外してなくてよかった」
「本当だね」
助かりました。
これがなかったらと思うとゾッとする。
「うちの商売が商売だから、みんな心配してた。和彦さんも田中もみんなも必死だったよ。みんなで乗り込むって大騒ぎだったから」
組員さん達ありがとう。
ぴよぴよモナカだけじゃ足りないかも。
「みんな、すみれが大好きなんだ」
じわじわ
みんなに心配かけた
ごめんね。
「一夜と夢君が心配してたよね。私は無防備で、すぐ人を信じてだまされやすいって。いい人達ばかりじゃなくて悪い人もいるんだよって教えてくれてたのに……ごめん」
私がどうやってバンに連れ込まれたのか
一夜に話すと
一夜はタメ息をする。
小さくなってしまう。
本当に自分が情けないよ。
「それは仕方ない。すみれちゃんの性格を考えると仕方ないけど、次からは人通りのない暗がりの路地に絶対行かない。近くにバンがあると余計に行かない。若い男に話しかけられても無視。椿さんに謝りな。椿さんが一番心配してた。月夜がいるから気を張ってたけど、やっぱり母親にとって娘が一番だからさ」
うん。
お母さんがいない一夜にそんな発言をさせてゴメン。
「うちの和彦さんもスゴかったけどね」
一夜は思い出したように笑う。
なんとなく想像つくのも怖い。
スゴかっただろう。
ごめんお父さん。