溺愛されてもわからない!

「あと……夢」

「夢君?」

「そう夢。自分の彼氏を忘れちゃダメだよ。すみれちゃんの一番大切な人なんだろ?」

一番大切な人。

「夢もパニック起こしてた。すみれちゃんが心配でたまらないヤツ」

「うん」

「今日会ったら、よくお礼を言うんだよ」

「……うん」

「クリスマスにはきっと退院だよ。大好きな夢とふたりで過ごせるね」

優しく言われるたびに
心がズキズキするのはどうしてだろう。

「あの……一夜?」

「ん?」

「私は……あの……」

自分の心の中の違和感を一夜に話そうとしていると

「おねえちゃーん!」

「すみれ。おはよう」

「身体はどうだい?」

月夜とお母さんとお父さんが部屋に元気にやってきて、一夜との会話が終わってしまった。

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