溺愛されてもわからない!
「もういいよ。俺の事は気にするな、また同じクラスの仲間に戻ろう」
「うん」
「カッコ悪いけど、俺はまだすみれが好きだ。すぐ忘れられる存在じゃない。だから素直に一夜との話は聞けないかもしれないけれど、困った事があれば相談にのるから」
「ありがとう」
優し過ぎるよ夢君。
みんな
優し過ぎで泣けてくる。
「まずは……さよなら……かな」
「さよならって嫌な言葉だよ」
鼻をグシュグシュさせながら私が言うと、夢君は笑ってティッシュを差し出してくれた。
「1回自分の中で、すみれとさよならする。でもまた、友達として、こんにちは……かな?」
「うん」
こんにちはって言葉は大好きだ。
「早く退院して、井口とたい焼き食べに来い」
「うん」
それから
夢君と話をしながら
楽しい時間を過ごしたけれど
夢君的には後から聞いたら
けっこうメンタルボロボロで『やっぱり夢が好き』って言葉を待っていたそうだ。
ごめんしか言えない。
今回の事ではっきりわかった
私は
一夜が好きだ。