溺愛されてもわからない!

「明日退院だって?」
ひょいっと現れた一夜は、片手にスタバのタンブラーを持ち私に渡す。

真っ赤なタンブラーに白い雪が降り
雪だるまが私を見つめてる。

「冷めたかも。すみれちゃんの好きな甘いやつ」

「ありがとう」

ふたを開けてひと口飲むと
ホイップクリームが心地よく溶けている。
まだ温かい。美味しい。

どうして
私が今一番欲しい物がわかるのだろう。
不思議。
満足そうに飲む私を見て
一夜は笑ってコートを脱ぎ
マフラーを外して私のベッドに腰をかけた。

「イスあるよ」

「うん」

ジッと見つめられると
急に恥ずかしくなる。
意識しすぎだね。

「バイトしてたの?知らなかった」

「毎日女の子と遊んでたと思ってたろ?」

「うん」

「けっこう真面目なんだぞ」

こないだまでのギスギス感が無くなっていて、今はドキドキしている私。

一夜はベッドに並ぶ怪獣達に驚き
私は月夜が考えた赤ちゃんの名前を教えると爆笑。

「いーじゃん。佐藤 ジャスティス」

「漢字にできない」

「流行のキラキラネームじゃん」

いや
キラキラしすぎです。
散々笑ってから
急に真面目な顔をして「夢は来た?」って私に聞いた。

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