溺愛されてもわからない!
生クリームが美味しくできたから
ちょっと月夜に食べさせたいな
冷蔵庫の苺を2.3個こっそりいただき、ガラスの器にのせて台所から身体を伸ばすと……月夜がいない。あれどこに行った?
「すみーれちゃん」
月夜を探してたら
背中に一夜がベッタリ貼り付く。
「ちょ!」
「ちょ?」
ジタバタと身体を動かし
貼り付いた一夜を振り払おうとするけれど、一夜はしっかりギュッと自分の両手を私の前で絡め、甘えた仕草で抱きしめる。
「誰かに見られるっ!」
「誰も見ない」
「つっ月夜は?」
「椿さんを追って事務所に行った」
「でもすぐ戻るよ」
「戻らない」
一夜の髪が首筋に当たってくすぐったいって思ったら、髪じゃなくて唇だった。
「ダメだよ」
振り返る拍子に今度は私の唇にキス。
もう許して
やりたい放題でしょう。
「一夜」
「これも美味しそう」
一夜の指が生クリームをすくい、私の唇にそっと重ねた。
「きっと甘いよ」
ダメだ……抵抗できない。
生クリームごと一夜は私の唇を味わい
満足そうな笑顔を見せる。
「甘いね」
一夜の声も仕草も顔もセリフも甘すぎる。
溶けてしまいそう。