溺愛されてもわからない!
頬を叩かれた
平手打ちってヤツ
いや
それはとってもショックで
言葉も出なかった
けど
それこそ自分の身体能力が恐ろしい
私は反射的に右手がスッと上がり
彩里ちゃんの頬をグーで
ごめんなさい
グーで殴ってしまって
彩里ちゃんの華奢な身体は
その場に沈んだ。
あぁやってもうた……。
いや
これは本当に反射的な事で
何?パブロフの犬?
フレミングの法則?いや、それは電流だ
反射?じょうけい反射?情熱大陸?
いや犬で合ってる!
じゃなくて……違う違う!
あぁ頭が本気でパニック!
私が女の子をグーで殴るなんて
「すみれ!何て事を!」
「おねーちゃん強い」
「さすが、すみれお嬢さん」
「すみれちゃん早っ」
お父さんだけが驚いて言葉も出ず
口をあんぐり。
「ごめんなさいごめんなさい。本当にごめんなさいすいません」
悪気はなかったんです。
つい右足が出たら次に左足が出るみたいに
そうしないと歩けないでしょう
だから
つい……ごめんなさい。
私は座り込み
彩里さんの身体を起こそうとしたら
怖い怖い顔でにらまれた。
当然です。ごめんなさい。