溺愛されてもわからない!
「つっ椿さん?」
「和彦さん?わからなかったの?」
「まさか?」
「2人の様子を見ていたら普通にわかるでしょう。切なそうな苦しそうな顔をして、同じ家に住んでいるのに妙によそよそしいと思ったら、急に昨日の夜から水を得た魚みたいに生き生き幸せ顔してるもの。気持ちが通じ合ったのでしょう。だから彩里さんのお話も断ったのよ。そうじゃないと責任感の強い一夜さんが断るわけがないてしょう」
すっ
鋭いお母さん!
一夜の頬がヒクヒクしてる。
「たっ田中、お前もか?」
「はい」
一礼する田中さんに、めまいを起こすお父さん。
そして
「あっ!」月夜が大きな声を出し
「きのうお兄ちゃんがお姉ちゃんにチューしてた」
って追い討ちをかける。
組長……壊れる。
ああああああっ!
月夜
やっぱり見てたのか。
「一夜!お前は大切な大切なすみれに手を出したのか!」
「いやまだ出してないって!」
「おじさま!その話じゃなくて私と一夜さんの婚約のお話を……」
「そんなのどうでもいい!」
「組長、落ち着いて下さい!」
「うちのすみれを!」
「お父さん!」
佐藤家 修羅場。