溺愛されてもわからない!
お父さんが一夜の首を押さえながら
一気に壁に追いやって
一夜は殺される寸前の壁ドン。
もう血走った目で
グイグイ自分の息子を攻めまくる。
「組長。それでは一夜さんが死にます」
田中さん
クールに言わないで。
「一度死ね!」
実の息子に何を言うか。
動かない田中さんに、仕方ないって顔でうちのお母さんが2人に近寄り「一回お話しましょう」と、優しい優しい声でお母さんはお父さんにそう言った。
お父さんは力を抜き
「そうだな……家族会議を始めよう」と、今度は私の顔を射ぬくように見るという。
地獄の家族会議が始まりそうだ。
「おじさまっ!おばさまっ!」
そうだ
もうひとり
めんどうなのが居たんだよ。
興奮状態の彩里ちゃんを田中さんが背中から羽交い絞め。
「何するの?」
「外の運転手さんに引き取っていただきます。村越組の組長さんにはこちらからお電話入れさせていただきます」
「そんな事できない!」
そんな必死な彩里ちゃんに、お父さんはイラっとしながら
「彩里さん。今回の事は本当に申し訳ない。お父さんには後で連絡させてもらいます。昔、抗争で彩里さんのお父さんの命を救った事が自分はあります。だから今回のご無礼はその時の貸しでチャラにさせてもらうってお話にさせて下さい。そう言えばもう終わります。では、さようなら」
そう言って
田中さんから彩里ちゃんを受け取り
とっとと玄関先に待つ
彩里ちゃんの車に入れて敷地から追い出した。
さすがお父さん。