溺愛されてもわからない!

「ええーーーーっ!!」

大きく反応したのは一夜だった。
さっきまでの幸せほのぼの顔が180度変換。

「いやそれ、どうしてですか?」
立ち上がってお母さんに叫ぶ。

私も急に何を言うお母さんって感じ。
頭がよく回らない。
どーゆー事?

「ねぇねぇエッチきんしってナニ?」月夜が田中さんに聞いている。

田中さん。
真実を言うなよ。

「どうして?さっき僕達を認めたんでしょう」

焦りながら聞く一夜に
お母さんは「一夜君」って穏やかな声を出す。

「すみれは私の大切な娘なの。だから大切にしてほしいの。一夜君のすみれへの愛が本気なら、こんな条件は軽いでしょう?」

そう言われて
グッと言葉を詰まらせる一夜。

「あと、私達は家族であり、あなた達には月夜君という弟がいます。そして夏にはもうひとり家族が増えます。ふたりがそんな仲になると、どうしても家族が乱れます。注意していても、男と女の関係になると家族の輪が乱れ、月夜君の教育上よくないです」

そこまで先を読む。
恐るべし母親。

「その条件を飲めますか?一夜君」

お母さんは一夜を真っ直ぐ見つめ
一夜も真っ直ぐお母さんを見つめ返す。
< 389 / 442 >

この作品をシェア

pagetop