溺愛されてもわからない!
一夜は迷いもなくお母さんに「大丈夫です。約束は守ります」ってそう言った。
言った……一夜が言った。
「月夜の前では、いや、家族の前ではイチャつきません。普通に仲の良い家族でいます」
そしてお父さんの方を向き
「認めて下さい。すみれちゃんを大切にします」
迫力ある声でお父さんに宣言。
「ねぇねぇ、俺はわかんない。お兄ちゃんもお姉ちゃんもどうしたの?」
ひとり悶々する月夜。
だよねーわかんないよね
逆に話の内容を全部理解できたら怖いけど。
お父さんは大きく深呼吸して
「わかった」って言ってくれた。
クリスマスの奇跡ふたたび。
今年のクリスマスは忘れられない聖夜。
「さぁ今日の準備をしましょう。ケーキが間に合わなくなるわ」
お母さんはこの場を締め
「和彦さんも手伝ってね」って甘えた声を出し、私に向かってサインを送るように微笑んだ。
我が家で一番力のあるのは
きっと絶対お母さん。
「すみれちゃん、ちょっと」
一夜に背中を突っつかれ
こっそり後を追いかけて一夜の部屋に入り、ツーショットになると一夜は私にすがるように抱きつく。
「倒れそうだよ」
「倒れる寸前」
苦笑いして軽いキス。