溺愛されてもわからない!
「よかったね」
崩れるように私に抱きつく一夜の身体を抱きしめ、月夜にするようにポンポンと背中を叩く私。
「よかったって?」
急に生き返ったような勢いで、私に喰ってかかる一夜。
「よかったでしょう。これでコソコソしないですむもん」
「エッチ禁止令だよ。あと4年だよ。あと4年もエッチできないって無理!」
そのまま自分のベッドに押し倒す一夜。
いやーちょっと待って―!
「でも約束だもん」
「でもさ……でも……」
一夜の綺麗な顔が曇ってる。
「男なら約束は守らなきゃ」
「……だね……」
声ちっさ。
「私は、認めてもらえて嬉しかった」
「うん」
「約束やぶったら、私は田中さんの嫁になるんだよ」
「それはイヤだ」
「じゃ頑張ろう」
「すみれちゃんは、椿さんに似てる」
一夜は笑って起き上がり
手を差し伸べて私をベッドから起こす。
「好きだよ」
「私も好き」
「今夜はすみれちゃんからもらったコロンだけを付けて、全裸でふたりで楽しもうと思ってたのに残念」
冗談とも本気とも思える言葉が怖いわ。