溺愛されてもわからない!

「夢に絶対負けると思った」

「……うん」

「否定しないんだね」
ほっぺたを軽く引っ張る一夜。

「どうして僕にしたの?」
ふざけた感じで聞いてくるけど
笑ってる目の奥は真剣で
私の肩に置かれた手が少し強くなる。

本気の質問の証拠。

こうやって
彼の本当の姿が少しずつ理解できるのが
くすぐったいほど嬉しい。
だから私も正直に自分の気持ちを彼に言う。

「ずっと、見ていてくれたから」

彼の手の緊張が解ける。

「いつも私を見守ってくれた。優しかったり厳しかったりしたけれど、ずっと私を見守ってくれていた。夢君も私には申し訳ないくらい素敵な人だったけれど、私が一番失いたくない人は一夜だった」

上手に説明できないけれど

「彩里ちゃんとのツーショットを見て嫉妬した。生まれて初めての嫉妬で自分でもビックリした」

「僕は夢にずっと嫉妬してたけど」

首筋のキスはくすぐったい。

「一夜は軽く見えるけど……本当は繊細で淋しがり屋でドM!」

「おい」

ギュッと強くそのまま抱かれた。

「好きだよ」

「私も大好き」

好きって言葉は魔法の言葉だね。

心がふわふわウキウキで
最強の気分になる。
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