溺愛されてもわからない!

そして
最高の気分になると
必ず聞こえる一夜の重いタメ息。

「20歳までダメって……何?」

今日は逆ギレパターンの日。
その前は悲しいパターンだった。

「すみれちゃんがさ、バレないように頑張ればいいんだよ」

「それはできないよ。一夜が一番わかってるはず」

バカ正直な私が
あの天然の裏に隠れた鋭い目を持つ
お母さんの目をごまかすのは不可能。

「こんなに好きなのになぁ」

頬にキスされて
くすぐったくて首をすくめる私。

「あー可愛い。困るぐらい可愛い」

「ちょっとやめて。本当にくすぐったいの」

キスが進み
私は体制を崩してベンチに倒れる
すると
秋の高い空を背景に
一夜の綺麗な顔が私に迫る。

「世界で一番可愛い、僕の妹であり彼女」

「忙しいね私」
笑うと
そのまま一夜の顔がゆっくりと降りて来て
そっと重なるだけのキスをする。

しっとりとした
柔らかな優しい唇。

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