溺愛されてもわからない!
「お嫁さんに予約済み」
「ありがとう。大切にする」
「キスしたいけど、誰かさんが怒鳴る3分前だからやめとく」
「10秒前だよ」
そんな会話をしていたら
大きな窓が乱暴に開き
「うちのすみれに手を出すな!」と、お父さんが大きな声を出す。
「ほら、溺愛過保護のお父さんが怒ってる」
「綾夜芽ちゃんの将来が気の毒だ」
「私達が守ってやろう」
「綾夜芽ちゃんを?あの溺愛から?」
「うん。本当に好きな男の子ができたら、応援してあげるの」
そう言うと
素直に『うん』って言ってくれると思ったら、一夜は「うーん」と苦い声。
「それは……どうかな?」
「どうして?」
「悪い男に引っ掛かったら困るだろう」
「それを見極めて、応援するの」
「いや……綾夜芽ちゃんは、男の子はいらないかな。僕達がいればいんじゃない?」
悪びれなくサラッと一夜が言う。
一夜の将来が見えてきた
きっとお父さんと同じになりそう。
綾夜芽ちゃんを溺愛して
彼女の恋愛を全部潰しそうな気配。
いや、一夜より月夜の方が怖いなぁ。