溺愛されてもわからない!

満足して二階に上がり
自分の部屋に入ろうとしたら

「やっぱ心配だから転校しよう」って
背後からいきなり抱きしめられた。

「悪いヤツがいっぱいいて危険だろ」
甘い声で私の身体に重みをかけ
自分の手をクロスして私を逃がさないようにする一夜。

ドキドキというのか
心臓が口から飛び出そう。

身動きとれずに固まる私の緊張も知らず
一夜は甘い香りで私を包み
腕に力を入れて抱きしめる。

学校の悪いヤツより
背中に潜むヤツの方が
百万倍も悪いわ!

「やめてっ!」

小さいけど力はある

思いっきり一夜の足に蹴りを入れ
力が緩んだ隙にその腕から逃げた。

「すみれちゃーん」

「1メートル以上絶対離れて!」

「兄と妹になったから仲良くしよう」

「絶対嫌だ!人のファーストキス奪ったくせに!」

思わず言ってしまう
あぁ言ってからまた思い出す

私のファーストキス

泣けちゃう。

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