溺愛されてもわからない!

ファーストキスは夏祭りの後
ひっそりと2人で神社の裏あたりで
蛍を見ながら
こっそり恥ずかしそうに、山﨑賢人君みたいな人とする予定だったのに!!

なんでこんな
チャラくてエロい義理の兄と……じんわり本気で涙目だよ。

「私は大丈夫です。もう関わらないで下さい」

「本当に初めてだったの?」

「……そうだよ」
しょんぼりと顔を下げて自分の部屋に入ろうとしたら、一夜に腕をつかまれた。

「悪かった。ごめん」

その声が
あまりにも真剣で
キャラに合わない声だったので
思わず顔を上げたら

本気で申し訳ない顔をしていた。

「挨拶みたいなもので、深い意味はなかったごめん」

しっかり謝ってくれたから
私の怒りテンションも低くなる。

「本音を言うと、田舎から浮かれて出てきた女の子を、からかって遊ぼうと思ってた」

それが本音か。

「金も権力もある父親に取り入って、贅沢と遊びが目的なんだろなーって思ったけど、椿さんとすみれちゃんは違ったね。ごめん」

「病んでるよその考え」
頬をふくらませて文句を言うと「月夜に似てる」って笑われた。

笑った顔が
とっても色気があって綺麗だった。

< 63 / 442 >

この作品をシェア

pagetop