溺愛されてもわからない!

私はそのまま落下。
これってヤバっ!

落下しながら頭をフル回転。
無事着地するにはどうしたらいい?
横たわる体勢のまま足で外壁を蹴り、空中でグイッと手を伸ばして田中さんに向かってまっしぐら。すると田中さんは表情も変えず私をスッポリとキャッチ。

「おケガはありませんか?すみれお嬢様」

「大丈夫です。すいません」

クールビューティーな田中さん。

「すみれさん!」

「ごめんなさい」

和彦さんに怒られて
お姫様だっこのまま首をすくめる私。
恥ずかしい。

「二階の窓を開けたら、和彦さんの声が聞こえてきて……大丈夫ですか?面倒な電話とか?あの、田中さんすいません降ります」

「お嬢様の靴がないので、このまま抱いております」

落ちて失敗した。
恥ずかしすぎる罰ゲーム。

「電話はうちのえーっと……会社の一番偉い人です」

歯切れ悪いよ和彦さん。
はっきり言っていいよ
極道の頂点っぽい偉い人って。
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