溺愛されてもわからない!
「再婚したのがバレて『椿さんと挨拶に来い』と、命令されました」
頭を抱える和彦さん。
「つまりですね。椿姐さんを連れて行って、元締めの組長に気に入られたらいいのですが、気に入られないとそこで離婚させられるかもしれないので、組長は困ってます。付け加えると、気に入れられすぎたら元締めの組長の愛人に取られてしまうので、それも困ってます。」
田中さんが通訳してくれた。
へっ?上が気に入らないと離婚させられちゃうの?
そして気に入られすぎたら
愛人にさせられちゃうの?
めんどうな世界だね。
「椿さんは優しくて情が深くて、綺麗で完璧なので大丈夫とは思いますが、多少……その……」
「天然」
「そこまで言わないけど。近いものがあるので心配で」
なるほど
大親分さんのタトゥ見て『綺麗なシールですね』とか言いそうだ。
強い組長さんも愛する人の事になると
心配でたまらないんだね
まったく笑っちゃうわ。
「お母さんなら大丈夫ですよ。なるべく話をしないでニコニコ笑ってろって私も言っておくし、和彦さんが付いているから大丈夫」
「すみれさん」
「問題ない。大丈夫!」
田中さんにお姫様だっこされた体勢で、こんな事言うのもなんですが大丈夫。
親指を立てて和彦さんに笑うと、和彦さんも笑ってくれた。
色っぽいな。やっぱ親子。一夜に似てる。