溺愛されてもわからない!

水無月君の笑顔は
少年のように無防備で
くしゃっとした顔になって
大きな口で笑って
とっても気持ちよくて
あったかい笑顔で

誤解されたけど
その笑顔が見れて嬉しかった。

「そんで、どうして一夜と転校生が?」

水無月君が聞くと
今度はおばあさんが話をしてくれて
水無月君は今度は真剣な顔で頭を下げて、私達に沢山お礼を言ってくれた。

「スマホがダメになっただけだから、気にしないで」

一夜の鋭い目が私を刺す。
あぁ
こんな所も和彦さん似。怒ったら怖そう。

そんな雰囲気を和らげるように、おばあさんが足を引きずりながら店先に出て来て、お茶と一緒にたい焼きを私達に出してくれた。

水無月君に見惚れて
こんな所で立ち話している場合じゃない!

「おばあさん足ケガしてたら困る。きっとねんざだと思うけど、病院連れてったらいいよ」

私の言葉に水無月君はうなずき、『大丈夫』というおばあちゃんを無理やり店の奥に戻し、もう一度私達に礼を言う。

赤い髪が揺れていた。

カッコいい……。





< 80 / 442 >

この作品をシェア

pagetop