溺愛されてもわからない!

月夜にたい焼きをおすそ分けして部屋を出る。
モモンガ怪獣を手にして
私は悩む。

そして
泣きつく先は

「田中さーーーん!!」

クール&ビューティーな田中さん。
冷静沈着な田中さんなら
いいアイデアがあるはず。

組員さん達が一生懸命洗車する様子を監督中の田中さん。
直立不動の黒スーツ。大人のイケメン。
金髪がゴージャス。
水無月君が赤いライオンなら
田中さんは金のライオン。

「シートの血を完璧に落としてから、バンパーを直せ。すみれお嬢さん、どうしました?」

血?って何でしょ。
聞かないふり。

「田中さん。ちょっとお話があるんです」

田中さんの袖をチョイチョイっと引っ張り
呼びだして相談。

いくら義理の兄と妹といえ
年頃の男子と女子をツーショットで家に残すのは、どーなんでしょう……と。
一夜のエロい性格からして
私は間違いなく襲われる可能性がある……と。

必死に必死に訴えると
田中さんは「……ですね」と、認めてくれた。


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