溺愛されてもわからない!
そうでしょう。
そうでしょう。
絶対絶対襲われる。
「一緒にバスタイムとかベッドインとか言われてるんですからねっ!」
「……ですね」
「初めては優しくしてあげる……とかも言われてるんですからねっ!」
「それはいいですね。一夜さんなら慣れてるので優しくて安全だと思います」
「私の初めては大好きな人とします!」
話の流れが変になってる。
乙女に何を言わせるんだ田中さん。
田中さんは少し困った顔を見せ
深呼吸をしてから私の肩に手をのせた。
「すみれお嬢さん」
「はい」
「チャカの使い方わかりますか?」
「チャカ?」
新発売のお菓子?
「ハジキ、簡単に言えばピストルなんですけど」
「え?」
「小型のなら簡単です。私がお教えしましょう。一応安全の為に……」
「逆に安全じゃないでしょう。それで襲ってきた一夜を撃つの?」
「正当防衛です」
「一夜が死んじゃうよ」
「そこで死ぬなら二代目は継げません」
ちがーう。
何かちがーう。
「そうじゃなくて」
「一夜様は、すみれお嬢さんを襲いません。モテるので女の子には不自由してません」
「いや、それはわかるけど」
「来週の金曜日。二泊三日で出かけます。留守の間、よろしくお願いいたします」
金髪ライオンが頭を下げる。
あぁ誰もあてにならない。