溺愛されてもわからない!

そうでしょう。
そうでしょう。
絶対絶対襲われる。

「一緒にバスタイムとかベッドインとか言われてるんですからねっ!」

「……ですね」

「初めては優しくしてあげる……とかも言われてるんですからねっ!」

「それはいいですね。一夜さんなら慣れてるので優しくて安全だと思います」

「私の初めては大好きな人とします!」

話の流れが変になってる。
乙女に何を言わせるんだ田中さん。

田中さんは少し困った顔を見せ
深呼吸をしてから私の肩に手をのせた。

「すみれお嬢さん」

「はい」

「チャカの使い方わかりますか?」

「チャカ?」
新発売のお菓子?

「ハジキ、簡単に言えばピストルなんですけど」

「え?」

「小型のなら簡単です。私がお教えしましょう。一応安全の為に……」

「逆に安全じゃないでしょう。それで襲ってきた一夜を撃つの?」

「正当防衛です」

「一夜が死んじゃうよ」

「そこで死ぬなら二代目は継げません」

ちがーう。
何かちがーう。

「そうじゃなくて」

「一夜様は、すみれお嬢さんを襲いません。モテるので女の子には不自由してません」

「いや、それはわかるけど」

「来週の金曜日。二泊三日で出かけます。留守の間、よろしくお願いいたします」

金髪ライオンが頭を下げる。

あぁ誰もあてにならない。
< 87 / 442 >

この作品をシェア

pagetop