溺愛されてもわからない!
家の前で車は停まり
運転席から和彦さんと同じぐらい背が高く、黒いスーツを着た金髪の男性が素早く降りて来て、助手席のドアをうやうやしく開けた。
わぁ
こんな金髪の人をリアルに見るのは初めて
触ってみたいその髪。
助手席から降りて来たのは和彦さん。
金髪のお兄さんと同じく
身体にピッタリした黒いスーツを着て、渋い感じでこっちに来たけど
お母さんを見ると
和彦さんの顔はデレーンと変化。
溶けてる溶けてる。
チーズのように溶けてる。
「椿さん。今日の日をどんなに自分が待っていたか」
「和彦さん」
もう
ふたりの世界。愛って最強。
抱き合ってちゅーでもしそうな雰囲気だったので、私はそこに割り込み頭を下げた。
「佐藤さん。これからお世話になります」
「すみれさん。決心してくれてありがとう」
和彦さんは涙を浮かべ
私達を車の後ろに乗せ
自分は助手席に乗り込み
金髪のお兄さんが運転して車は動き始める。